このページでは、二胡に限らず、見て楽しめる中国文化をテーマに、写真とエピソードを掲載していきます。

前号では孫悟空の隈取りが出来上がるまでを紹介しました。今回は、衣裳の着付けをご覧いただきます。そして、孫悟空の独特の表情と所作も簡単にご紹介。京劇については前号でも触れていますので、ご参照を。
　 　　　

◎管楽器　その2
• ?（けん）

◎弾撥楽器（撥弦楽器）
• 古琴（こきん）

陳明志プロフィール
哲学博士。アジアの民族音楽の研究と現代音楽の創作を専門に行っている。作曲家、音楽会企画者として、長く香港の音楽界で活躍し、その作品は度々受賞し、かつ内外で演奏されている。近年に陳氏が編著者として出版した中国音楽関連の書に『大型民族管弦楽作品賞析』、『大型中楽作品創作シンポジウム』（論文集）等がある。また、自ら企画し、司会も務めたラジオ番組に『中華器楽ーー中華文化』、『世紀中楽名曲選』がある。その他、多元的文化、インタラクティブをテーマに、画家・舞踊・インターネット・映像・照明とのコラボレーション、舞踊音楽といった方面でも創作活動を展開している。 香港中楽団に在って、作曲家・指揮助手（研究・教育）を歴任、香港中楽団研究員、香港演芸学院作曲科及び電子音楽科講師、香港作曲家連合会理事も務めた。現在、上海音楽学院教授、Ensemble Contemporary Players 芸術監督。 　　

　今号より始まる「二胡演奏の科学」では、二胡演奏で "最も楽に美しい音色が出せる身体の動き" を、新進気鋭の二胡奏者・田宇さんが科学的に分析し、分かりやすく説明します。皆さんもこの記事をヒントに美しい音を目指しましょう！

田宇プロフィール

中国江西省出身。９歳より二胡を学び、周平華、王亮生、劉長福、趙寒陽の諸氏に師事。2006年、中国音楽学院国楽学部に入学し、張尊連准教授門下に入る。大学3年の頃より同学院教授で作曲家、指揮者の黄暁飛氏に作曲を学び、2009年夏、中国音楽家協会主催「成才之路」コンクール作曲部門にて三位入賞。学院卒業後、2010年末に来日、現在、東京学芸大学大学院作曲専攻在学中、山内雅弘氏に師事。中国音楽家協会二胡学会会員、中国音楽文学学会会員、日本二胡振興会会員。
　 　　　

「陽光耀くタシュクルガン」のアナリーゼ、前回触れた所で誤りがありましたので訂正します→「第83小節は第79小節を短３度低く変奏」を「長３度低く」に訂正。ついでに話を少し戻しますが、第79小節は変ロ長調（♭×２）の長三和音に支えられて明るい色ですが、第83小節はト短調（調号は変ロ長調と同じ♭×２）になって、色が暗く変わります。また、次の小節で#Fと♭Eの増２度も出て、この曲本来のエキゾチックな雰囲気に戻ります。ほかに、前回書き落としたのですが、于紅梅版の楽譜に誤りがあります。第143小節のピアノの右手、最初の音は♭Eは誤りで正しくはD、第147小節のピアノの右手二番目の音、Cは誤りで正しくは#Cとなります。この後の１オクターブ高いCには#は付きません。では、前回の続き、第148小節から始めましょう。　

• 各部分を見る
• 改めて音階を考える
• 最後に
　

　　　

　1999年まで、台湾で二胡を学ぶ人は、学校や民間の団体に参加する以外には、同好の士と交流する術も、機会も、ほとんどなかった。二胡愛好家の “不敗 “さんも交流の機会に恵まれない一人だった。ある時彼は学校の先生からホームページ製作の課題を出された。テーマは自由だったから、彼は二胡のサイトを作り、侠客小説ファンであるところからそれにちなんで＜二胡練功房（二胡稽古場）＞と命名し、自らも小説のヒーローの名前から “東方不敗 “と名乗った。現在でも華人の二胡弾きの間に響き渡るサイト上のハンドルネーム“不敗 “はここから生まれた。今回このページでは “不敗 “こと戴東華さんを日本の読者にご紹介する。
（取材／呉 俊徳）

　馬頭琴という楽器をご存知でしょうか。小学校２年生の国語の教科書に載っている「スーホの白い馬」でご存知の方もおられるでしょう。しかし、名前を知っていても実際に見たことも聴いたこともない、という方も多いようです。この連載が、多くの二胡ファンにも「馬頭琴」という楽器を知ってもらえる機会になれば、と思います。

永瀬征博　略歴

2001年より内蒙古出身の馬頭琴奏者チ・ブルグッド氏（中国国家一級演奏家）に師事。2006年にチ・ブルグッド氏により設立されたＴＯＫＹＯ万馬−馬頭琴アンサンブルの団長に就任。日本国内はもとより本場モンゴル国と中国内蒙古自治区においても演奏している。
馬頭琴の日本での普及にも力を入れており、馬頭琴専門のホームページ「馬頭琴世界」を管理運営している。http://morinhuur.web.fc2.com/
ＴＯＫＹＯ万馬−馬頭琴アンサンブル団長 中国馬頭琴学会会員
　

　盲人となって道士の道を捨て、街角で芸を売って日々の糧をかせぐ芸人となった阿炳。庶民や子供に親しまれる一方で、舌鋒鋭く社会を風刺する歌詞を作って唱うのが仇となり、嫌がらせや辱めを受けて精神的な痛手を受け、おまけにネズミに楽器を食い荒らされ、「これは不吉な兆し」と恐れて、とうとう楽器を手にしなくなってしまいました。
今回は、そんな阿炳が「二泉映月」を含む６曲を録音し、その３ヶ月後に世を去るまでの経緯を中心にご紹介します。
なお、この「阿炳の生涯」は、「阿炳曲集」所載の「阿炳小伝」（文：楊蔭瀏）の一部を訳出し、その他資料も加えて再構成したものです。

楊 蔭瀏プロフィール

中国音楽学者。江蘇省無錫出身。幼少より、知識人の子女として四書五経等の基礎教育を受け、また教養の一環として道士から簫、笛、笙、二胡を学ぶ。後に、アメリカの宣教師からピアノ、楽理、西洋作曲法等を学ぶ。1910年、華彦鈞（阿炳）より琵琶、三弦を学ぶ。1911年、昆曲の社団、天韻社にて昆曲、琵琶、三弦、古琴等を学ぶ。1923?26年、上海の聖約翰（セイント・ジョン／聖ヨハネ）大学、光華大学（西南財経大学の前身）にて経済学を学ぶ。在学中は同大学国楽組のリーダーを務める。小、中学校で教師を務めた後、1936?37年、北京（当時は燕京）のハーバード燕京学社の研究員を務め、同時に燕京大学音楽系にて中国音楽史を教える。1941?49年、重慶、南京にて教育部音楽教育委員会委員兼国立音楽院教授を任ぜられ、中国音楽史、国楽概論等を教える。1949年より中央音楽学院の研究部研究員。後に、同音楽学院の音楽研究所（後に中国芸術研究院音楽研究所）の副所長を経て同所所長を長く務めた。
中国音楽史を専門とし、音楽実例の収集と楽器の考古学資料を重視した中国初めての研究者であり、伝統音楽の実践と文字資料の深い理解に基づくその研究は、多くの論文、著作の形で残され、現在に至るまで多くの影響を及ぼしている。
また、少年時代より交流のあった華彦鈞（阿炳）が亡くなる３ヶ月前の1950年９月、民間音楽資料収集のため、無錫にて華の演奏する「二泉映月」等６曲の録音を行ったが、それが後に名曲「二泉映月」が世に出るきっかけとなったエピソードは人口に膾炙している。　

　Niko Noteも最終回となりました。これまでお読みいただいた皆様に感謝の気持ちを込めて、筆者が作曲した「REN」という曲の楽譜をこの最終回でお届け致します。

木塲 孝志（こば たかし） 作曲家・二胡奏者
甲陽音楽学院で作曲、編曲、DTMを学ぶ。卒業後、作曲家として活動を始める。やがて中国の民族楽器である「二胡」に出会い、その音色に心惹かれ、鳴尾牧子氏、高韶青（George Gao）氏に師事。 現在は作曲家としてTVCM、ラジオ番組のジングル、企業または店舗のイメージソング、アーティストへの楽曲提供などを行うと同時に、二胡演奏家としてライブやイベント活動を全国的に展開。ライブ活動は、カフェや酒蔵、コンサートホール、九州へ向かうフェリー船内ライブを行っている。また自らのアルバム制作も含め、その他アーティストやコンピレーションアルバムなどレコーディング活動にも積極的に参加。二胡講師として関西各地の教室などで指導。 2009年11月、鎌倉市市制施行70周年記念事業『鎌倉市愛唱歌』の作曲部門にて入賞。
　 　　　

　このページでは、これまでに『二胡之友』の取材を受けて下さった二胡大師の言葉の中から、含蓄のある「名言」をピックアップしてご紹介します。今回は、2011年６月号、７月号に掲載した閔恵芬大師の講演会記録から。 　　　

　　このページでは、読者の皆様のコレクションの中から、中国音楽関連のグッズや工芸品を、コレクターのコメントも添えて紹介していきます。楽しいグッズとそれに寄せるコレクターの思いの丈を、多くの皆さんと共有して“二胡友”の輪を広げてまいりましょう。今回は『二胡之友』編集長の“お宝☆我楽多”から、前回ご紹介しきれなかった分をご覧下さい。 　　　

五月の北京はまさに春暖花開（花咲くうららかな春）、花見がてら郊外に出掛けるのに絶好の季節です。この時期に一年に一度、花や散策を楽しむ“北京鬱金香文化節”が開催され、多くの行楽客を楽しませていますが、音楽界でも“北京現代音楽祭”という重要なイベントがあります。
“北京現代音楽祭”は2004年に中央音楽学院が発起人となって開催され、中国文化部、教育部、北京市政府等の行政機構が認可した国際的なビッグイベントです。芸術総監督は全国政治協商会議常務委員、中央音楽学院副院長、中国音楽家協会副主席の要職にある作曲家、叶小鋼氏が務めています。

胡　銀岳（こ ぎんがく）
青年作曲家、中央音楽学院作曲科副教授。桐朋学園大学、東京学芸大学を経て、東京芸術大学で博士課程を修了。作曲を蒔田尚昊、間宮芳生、一柳慧、吉崎清富、金田潮児、山内雅弘、野田暉行、松下功各氏に師事。これまでに40数部の創作作品が日本、ヨーロッパ、台湾地区において演奏されている。1998年、国立劇場日本音楽コンクールに入選、2000年度文化庁創作奨励舞台芸術特別賞、第3回国立劇場コンクール優秀作品賞、2002年名古屋文化振興賞を受賞、2004年NHK・毎日新聞主催の日本音楽コンクール交響楽部門に入選、2009年TMSK中国民族室内楽コンクール二位（一位なし）。2007年外国人留学生として初めて東京芸術大学大学院の作曲専攻博士号を取得。
　 　　　

現在、上海ではPM2.5や鳥インフルエンザ等あまり良いニュースは有りませんが、街はいつもと変わらずに活気に満ちています。当の私も至って元気です。
上海音楽学院は淮海中路と言う場所にあり、周りは金融会社のオフィスビルやブランドショップ等が立ち並ぶ、日本で言えば銀座みたいなところです。沢山の人が行きかい様々な音が溢れています。
そんな音の中に混じって二胡の音色も聞こえてきます。誰が弾いているのでしょうか？（続きは本誌をご覧下さい）

佐藤礼華（さとう れいか）
1991年生まれ。日本（父）と中国（母）の血を受け継ぎ、幼少より二胡に親しむ。2007年上海音楽学院附属中学に入学。二胡を汝芸副教授に師事し、現在は同学院民族楽器科本科生（二胡専攻）として研鑽中。2012年「盛世華音」第二回日中韓国際二胡コンクール海外組・青年組で金賞を受賞。
　 　　　

「Ｎｉｋｏｐｅｄｉａ」は、二胡にまつわる雑学や動向などを随想形式でお届けしています。話はあちこちに飛びますので、気軽に読んでください。前号の続きで「和文化 その２」です。

和文化 その２
• 茶道
• 華道と香道
• 和楽器と日本人