今号より新連載として、香港中楽団の作曲家・指揮者として長く同楽団に在籍した陳明志編著の『中楽因　更動聴（中国音楽は君＝楽器＝あればこそ更に聴く人を感動させる）』から、民族オーケストラに用いられる楽器及び編成を紹介する部分を訳出掲載します。楽器編成は香港中楽団が元になっています。

陳明志プロフィール
哲学博士。アジアの民族音楽の研究と現代音楽の創作を専門に行っている。作曲家、音楽会企画者として、長く香港の音楽界で活躍し、その作品は度々受賞し、かつ内外で演奏されている。近年に陳氏が編著者として出版した中国音楽関連の書に『大型民族管弦楽作品賞析』、『大型中楽作品創作シンポジウム』（論文集）等がある。また、自ら企画し、司会も務めたラジオ番組に『中華器楽ーー中華文化』、『世紀中楽名曲選』がある。その他、多元的文化、インタラクティブをテーマに、画家・舞踊・インターネット・映像・照明とのコラボレーション、舞踊音楽といった方面でも創作活動を展開している。 香港中楽団に在って、作曲家・指揮助手（研究・教育）を歴任、香港中楽団研究員、香港演芸学院作曲科及び電子音楽科講師、香港作曲家連合会理事も務めた。現在、上海音楽学院教授、Ensemble Contemporary Players 芸術監督。 　　　

　はじめまして。 　10代の頃は主にシンセサイザーやDTMなどデジタルな世界で活動をしていましたが、二胡という楽器に魅せられてはや10年。今ではすっかり二胡がメインの楽器となりました、木塲（こば）と申します。 　この「Niko Note」では西洋音楽理論を中心に、筆者が二胡奏者、作曲家、アレンジャーとしてこれまで眺めてきた音楽の形や、学校の授業などでは教えてくれなかったようなことを記して参ります。

第一頁　音の名前
• なぜドレミと読む？
• ４音音階　テトラコード
• 音の名
• 読みやすく！歌いやすく！
• ドレミの誕生
• 音名と階名

木塲 孝志（こば たかし） 作曲家・二胡奏者
甲陽音楽学院で作曲、編曲、DTMを学ぶ。卒業後、作曲家として活動を始める。やがて中国の民族楽器である「二胡」に出会い、その音色に心惹かれ、鳴尾牧子氏、高韶青（George Gao）氏に師事。 現在は作曲家としてTVCM、ラジオ番組のジングル、企業または店舗のイメージソング、アーティストへの楽曲提供などを行うと同時に、二胡演奏家としてライブやイベント活動を全国的に展開。ライブ活動は、カフェや酒蔵、コンサートホール、九州へ向かうフェリー船内ライブを行っている。また自らのアルバム制作も含め、その他アーティストやコンピレーションアルバムなどレコーディング活動にも積極的に参加。二胡講師として関西各地の教室などで指導。 2009年11月、鎌倉市市制施行70周年記念事業『鎌倉市愛唱歌』の作曲部門にて入賞。
　 　　　

　この連載は、二胡演奏家賈鵬芳氏が2005年２月から７月まで、６回にわたって開講した日本人のための二胡講師養成講座を再構成してお届けするものです。 　今回からいよいよ二胡音楽、楽器のお話に入りたいと思います。まずは、20世紀における二胡の発展についてから始めましょう。 　　二胡音楽は中国の音楽の中で非常に重要な役割を果たしています。特に20世紀になってからは西洋の影響もあり、劉天華によって始まった劇場でのコンサートのスタイルが少しずつ主流になって来て、そこで二胡という楽器は室内音楽の中で非常に重要なポイントになってきました。

• 二胡の前身は？
• 二胡の発展に寄与した人々
• 中華人民共和国成立以後の二胡
• 改革開放後の二胡

賈鵬芳プロフィール

８歳から二胡を始め、1978年中央民族楽団に入団、10年間ソリストを務めた後、88年来日。以後、二胡らしさを保ちつつ多ジャンルの音楽を吸収消化して、独自の風格を築き上げるとともに、日本における二胡の普及、世界で認められる二胡音楽の形成に多大な貢献をした。日本各地に分校のある「天華二胡学院」を主宰。多忙な中、自らも教えている。近年、北京・上海で開催したリサイタルは大好評を博し、中国の人々にも賈鵬芳の二胡の新しい世界が認められることとなった。12年、中国で出版されたアルバム「一抹天香」を日中同時発売。この春からBS11の音楽番組の司会を担当。東京芸術大学修士課程修了。日本二胡学会副会長。
　 　　　

　　この最終回の連載を書いている今日は、ちょうど私の「WeiWeiWuuが来た！?　二胡新伝説」というデビュー10周年を記念するツアーで全国を回っている真っ最中です。いつも以上に毎日の過ぎるのが早く感じます。でも、確実に、毎日、毎日、意義のある出会いと時間を実感し、感謝の気持ちがいっぱいな毎日でもあります。全国津々浦々のいろんな会場で、多くの二胡愛好家の方と触れ合ってみて、本当に二胡という楽器が皆さんの生活に馴染んできているのを感じて、とても嬉しく思います。

ウェイウェイ・ウープロフィール

中国／上海生まれ。二胡を通じて様々なジャンルのミュージシャンとコラボレーションを精力的に行い、二胡のスタンディング奏法の考案など、独自の演奏スタイルを確立。ロック、ジャズ、フュージョンなどと共演する現代二胡のパイオニア的存在。NHK「ダーウィンが来た」でケニーＧとテーマ曲を担当し、ＴＢＳドラマ「JIN-仁-」のメインテーマで二胡を演奏するなど、幅広く活躍している、スタイリッシュな二胡プレーヤー。
　 　　　

　今回は西洋クラシック音楽の作品で、二胡コンサートでもおなじみのモンティ作曲「チャールダーシュ（チャルダッシュとも）」を取り上げます。「チャールダーシュ」はゆっくりしたテンポの導入部と急速な主部とからなるロマ（ジプシー）の舞曲形式の一つを指す言葉ですから、この種の曲はたくさんあるのですが、中でもこの作品は広く知られています。作曲者ヴィットリオ・モンティ（1868-1922中国語表記は蒙蒂）はイタリア出身で、パガニーニの系統をひくヴァイオリニスト。フランスで活躍し、この「チャールダーシュ」は1904年、パリで作曲されています。もともとはマンドリンのために作られたそうで、現在はピアノ伴奏をともなうヴァイオリン版を筆頭に、金管楽器や木管楽器等、さまざまな楽器編成で演奏されています。二胡への移植はいつ頃、誰によって行われたかは不明ですが、よく演奏されるようになったのは、やはり文革後の1970年代末以降ではないかと思われます。

• 「チャールダーシュ」の由来
• なぜ二胡で「チャールダーシュ」を演奏するようになったか？
• 二胡用楽譜について
• 全体の構成
• 各部分を見る

　　　

　1986年生、マレーシアのジョホール州Ledang市出身。2001年より二胡を始める。中学校在学中から全国規模のコンクールで度々受賞。 　2005年、中央音楽学院が行った国外試験で二胡八級を取得（マレーシア国内で最高位の成績）。 　2006年、中国の審査官による国外選考を受け、奨学生資格取得（全国で一名だけ）。マレーシア中央芸術学院の黄良友院長の推薦を受けて正式に北京に留学。 　2007年、マレーシア留学生として初めて、中央音楽学院民族器楽系本科二胡専攻に合格。劉長福教授及び劉厚雲先生に師事。また、板胡、京胡を柏森先生に学び、さらに孫凰、田再励等の名演奏家の指導を受ける。 　大学在学中は元北京民族楽器廠の楽器製作者に二胡製作を学び、同時に著名な音楽家に師事し、音楽創作を学ぶ。多くの音楽フェスティバル、芸術祭、文化祭やシンポジウム、パネルディスカッション等に参加、また、中国国内、国外の新聞等刊行物にて紹介される。 　2011年、学士学位を取得し卒業。現在、中国音楽家協会二胡学会会員、中国民族管弦楽学会胡琴委員会会員。

　卒業試験は忘れもしない、2010年の６月末だった。 　張り詰めた緊張感のある部屋で一列に机が並べられ、咳払いと厳しい先生方の目つきの中で行われるテスト。心臓の鼓動さえ、聞かれてしまうのではないかと思うほど静まっている教室へ、ドアの前に貼られた名前のリスト順に受験者は入っていく。 　これが私の最後の試験だ。これが終われば、もうテストなんてない！　だから精一杯自分を表現しよう。私の音楽を楽しめればいい、大丈夫！　そう自分に言い聞かせながら、出番を待った…（続きは本誌をご覧下さい）

　いよいよ最終回となった「二胡の壺」。今まで目を通していただいた皆様、本当にありがとうございました。この連載の機会を下さり、毎回締め切りのぎりぎり（過ぎてたかも）まで温かく待っていただいた『二胡の友』編集部の皆様にもお礼を申し上げます。日頃レッスンをするなかでいろいろ思うことはあるのですが、文章にしておきたいと思いつつ長年手を付けられずにいたので、自分の考えをまとめる大変よいチャンスでした。身近にいろんな感想を聞かせてくださった方もあり、また普段お会いすることもないような遠方の方からもお電話で感想をいただいたりしてうれしい限りでした。いつか何かの形でまたお会いできればと思います。

• 二胡とわたしとあなた
• 技術より先にある思い
• 砂粒一つの上達を
• 鳴尾的楽観主義のススメ

　ある日の午後、友達と一緒にご飯を食べていると、友達が急に恐ろしいことを話し始めました・・・。 「そういえばキリコ、この前の歌の試験の時は凄かったね！　キリコが教室を出て行った後、先生超困ってたよ！　まさか違う曲を歌っちゃうなんてね（笑)」 へ・・・(゜д゜)？…（続きは本誌をご覧下さい）

「Ｎｉｋｏｐｅｄｉａ」は、二胡にまつわる雑学や動向などを随想形式でお届けしています。話はあちこちに飛びますので、気軽に読んでください。今回のテーマは「程農化」です。

• 程農化
• スーパーグループ「グループ風雅」を率いる
• 声明との出会い
• 即興に戯れる