第64回 安西創先生の各種楽器

 ?好!アルフー老師じゃよ。今年は平年より遅い梅雨入りだったのう、皆はいかがお過ごしだったかな? それにしても、物価の高騰が止まらんのう。爺は二胡の練習後にホッと一息、熱いコーヒーを嗜むことを至福の一時としておるのじゃが、コーヒー豆は今、主な産地であるブラジルやベトナムで天候不良による不作が続き、昨今の円安も追い打ちをかけて価格が高騰しておるそうじゃ。高級品や嗜好品になる未来もそう遠くなさそうじゃが、二胡演奏のモチベーションとなる至極の時を奪わんでもらいたいものじゃあ〜(泣)。
 さて、前回の場所からほど近い地域に名器を所有した人物がおるとの噂を入手したため、キン斗雲の舳先を南東へ向け、目的地へと急行したんじゃ〜!! 今回降り立ったのは、東京都中野区じゃ。この街を拠点として活動し、名器を所有しておったのは、二胡演奏家で講師の安西創(あんざい はじめ)さんということじゃ。何でも中国音楽教室「創樂社」を開講しておるということで、興味津々でチャイムを鳴らすと、気さくで陽気な雰囲気の安西さんが出迎えてくれ、突然の訪問にもかかわらず、愛用の楽器について親切丁寧に説明してくれたんじゃ〜!!
 現在、東京都在住の安西さんは、1990年から二胡を始めとする各種中国民族楽器に触れ、学生時代からプロ活動を開始したそうじゃ。故坂田進一、武楽群、甘建民の各氏に二胡、香港の陳啓謙氏に広東高胡及び広東音楽を、孫瀟夢女史には笛子・洞簫を学んだということじゃ。また、主宰しておる中国音楽教室「創樂社」では“中国音楽の小学校”というコンセプトのもと、中国音楽や中国の文化、二胡以外の民族楽器の音色にも幅広く触れるレッスンを心がけており、特に江南絲竹楽や広東音楽などの伝統音楽の合奏に力を入れ、早い段階から二胡以外の楽器と合わせる事で耳が慣れるようにしておるそうな。江南絲竹愛好会「進韻會」では世話人を務めており、国史蹟 湯島聖堂藝術講座「中国音楽入門」でも講師として指導しておるということじゃったよ。
 とにかくこの「創樂社」教室はありとあらゆる民族楽器で溢れかえっていたのじゃが、現在メイン二胡として演奏やレッスンに使用しておるのは、製作者不詳 蘇州式紫檀二胡および萬菊根精製 蘇州式老紅木二胡の2本ということじゃった。他にも出動の回数が多いその他胡琴類と合わせ、これまでの楽器遍歴と絡めながら紹介させてもらうことにしよう。

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