第60回 帯金真理子先生の各種二胡

 今年は梅雨入り後、各地で記録的な大雨に見舞われたが、皆は変わりなく過ごしておったじゃろうか。ご存知、アルフー老師じゃよ。この時期、二胡はニシキヘビ皮や木部が湿気を含んで、音色が変わったり、糸巻きが回しづらく調弦にも影響が出てしまうのう。折角、ポスト・コロナとなって、二胡をはじめとした文化活動もようやく大手を振って再開できるようになった訳じゃから、早くこのジメジメとした季節には過ぎ去ってもらい、凛とした瑞々しい二胡の音色を奏でたいものじゃ。
 さて、今回は九州地域に名器を所有した人物がおるとの噂を聞き付けたため、キン斗雲の舳先を西へと向け、雨に霞む初夏の空の下、目的地へと爆走したんじゃ〜! 今回降り立ったのは、福岡県北九州市。この街を拠点として活動し、名器を所有しておったのは、二胡演奏家で講師の帯金真理子(おびかね まりこ)さんじゃ。何でも大正8年に建設され、ルネサンス様式の意匠を有した「旧古河鉱業若松ビル」内で教室を開講しておるということで、恐る恐る扉をノックすると、凛々しくも明朗快活な印象の帯金さんが出迎えてくれ、この爺の突然の訪問にもかかわらず、愛用の楽器について懇切丁寧に説明してくれたんじゃ〜!!
 帯金さんは福岡県北九州市出身で、九州女子短期大学音楽科電子オルガン科専攻を卒業後、中国吉林省出身の二胡奏者・講師の楊藝(ヤン・イー)氏に師事。2012年には、中国にて第五回世界華人芸術節二胡斉奏金賞を受賞しておるそうな。現在は主に、北九州市若松区と、大分県宇佐市で二胡教室を主宰し、多くの生徒さんに指導しておるということじゃ。また、北九州を中心に、全国各地、さまざまな施設やイベントで演奏活動中で、クラシック、ジャズ、ポップス、民謡などジャンルに関係なく、独自のアレンジと演奏スタイルで、シーンに合った癒しの空間を作り上げることを得意としておるそうじゃよ。
 そんな帯金さんが、現在メイン楽器として演奏やレッスンに使用しておるのは、韓全華精製 蘇州式紫檀二胡および常順恒精製 北京式龍頭紫檀二胡の2本ということじゃった。早速、これまでの楽器遍歴と合わせて、紹介させてもらうことにしよう。

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