池袋と言えば、新宿、渋谷と並ぶ東京の副都心の一つ。10年ほど前から、駅の北口の一角に中国人が経営する料理店(ガチ中華のお店!)が集中してチャイナタウンとなり、コロナ禍以前は、一歩踏み入ると中国の街に瞬間移動したような錯覚に陥るほどだった。そのチャイナタウンとは駅を挟んで反対方向に10分余り歩くと、こんもりとした森に囲まれた寺院や、東京で唯一の路面電車の都電、そして昭和レトロな商店街が残る「雑司が谷」に至る。ここは池袋駅周辺の喧騒とはまったく別世界で、チャイナタウンで感じる空間移動ではなく、時間軸をグイと引き戻されたようなタイムスリップ感に襲われる。そんな雑司が谷の一角に、「東京音楽大学付属民族音楽研究所」がひっそりと佇んでいる。ここは、音楽専門教育機関として二胡を学ぶ社会人に門戸を開いている稀有でユニークな研究所だ。
 以下、この「東京音楽大学付属民族音楽研究所」(以下“民研”と略)のパンフレット等の資料や、実技レッスンの見学、受講生及び甲田潤研究員と劉継紅客員教授へのインタビュー、修了生の寄稿などをまとめ、ここでどのように二胡が学ばれているかをお伝えする。
 なお、記事作成のためにお世話になった皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。
(詳細は本誌をご覧ください)