第48回 蘇州二胡傑作選
世界が新型コロナウイルスの猛威に脅かされ、昨日まで知っていた世の中とは一変してしまったのう〜。これからは新しい生活様式の定着が求められており、二胡と人との関り方もまた、少しずつ変わって行くかも知れんのう。皆は日頃から感染予防に注意しておったじゃろうから、何事もなかったのであれば嬉しいぞ、ご存知アルフー老師じゃ。これまで名器を拝見させてもらった奏者の方達も御多分にもれず、緊急事態宣言期間中は自粛生活を余儀なくされており、音楽教室も各地で休講になっておったそうな。様子を伺ったところ、STAY HOMEで巣籠りしながら、これを良き機会と手書き楽譜をデータにまとめ直したり、インターネットサービスのSkypeや、LINE、ZOOMなどのアプリを利用してオンラインレッスンに勤しんでおる方も少なくなかったぞ。ウ〜ム、何だかこの先、二胡レッスンの形態も新しい様式に変わって行くやも知れんな…。
という訳で、今回は新たに奏者さんを突撃訪問することは自粛し、今までに訪問取材させてもらった奏者さんがお持ちの数々の至宝の中から、この爺の独断と偏見で、記憶に残る二胡傑作選ということで、選りすぐりの二胡を三種ほど、改めて紹介させてもらうことにしたぞ!!
そもそも二胡のルーツは、唐宋時代に流行した「奚琴(けいきん)」と呼ばれる楽器とされており、それが発展して北方の異民族からもたらされ、「胡琴」と呼ばれるようになったのじゃが、長い年月を経て、やがて江蘇省をはじめとする江南地域で「南胡」として発展したそうな。その後にやっと、現在の「二胡」と呼ばれる楽器になったのじゃが、新中国になって演奏方法の変革期が訪れると、独奏楽器としての地位を確立して行き、二胡製作師も盛んに研究、製作に精を出すようになって行ったんじゃ。そうして現代二胡の発祥の地として「蘇州」が認識されるようになり、その他の“三大産地”として「上海」二胡、後に「北京」二胡が発展して行ったそうな。因みにこれまでの“東南西北二胡見聞録” 47回中では、全部で44名の奏者の楽器を拝見、紹介させてもらったが、訪問取材した奏者さんがお持ちの楽器(複数本の場合はメイン楽器のみ)の割合を分析すると、蘇州二胡が実に43%、続いて北京二胡が25%、上海二胡が18%(その他、台湾二胡など14%)という結果じゃった。ウ〜ム、江南地区の水郷のように柔らかく深みを伴った、伝統的な蘇州二胡の音色を選択する奏者さんが多いという事実を改めて思い知らされるのう。そこで今回は、その蘇州二胡に的を絞って紹介させてもらうことにしよう。
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