第24回 劉福君先生の各種二胡
梅雨も明け始め、夏本番到来じゃ!皆は暑さに負けず過ごしておるじゃろうか、ご存知アルフー老師じゃよ。これから二胡の保管には大敵な湿度の高い季節が続くんじゃが、爺の楽器も蛇皮が湿気を含んで緩み、いつもの素晴らしい音色が奏でられんようになって来たのう…決して腕のせいではないぞ(苦)。さて、前回までは京都市在住の中国音楽の権化の如き先生のもとで膨大な楽器コレクションを拝見させてもらったが、今度はなんと、九州地方に素晴らしい楽器の所有者がおるとの噂を聞きつけたため、キン斗雲の舵を思い切り西へ切り、夏空のもと目的地へと爆走したぞ!今回降り立ったのは、福岡市中央区にある、大濠公園すぐの場所じゃったぞ。ここは元々福岡城の外濠で、入り江でもあった草香江をもとにした大池が特徴的な公園じゃ。この街で教室を開き、名器を所有しておるのは、二胡演奏家で講師の劉福君(リュウ フゥジュン/りゅう ふくくん)さんということじゃった。大濠公園沿いの大通りに面したビルの2階に上がると、そこはなんと二胡教室兼中国民族楽器専門店「飛天楽坊(劉音楽興社)」になっており、この爺の図々しい訪問にもかかわらず、何とも気さくで明るい性格の劉氏が丁重に迎え入れてくれたぞぉ〜(喜)!
劉氏は1963年中国吉林省遼源市生まれで、父兄の影響で5歳より二胡を始めたということじゃった。その後、吉林省芸術大学で二胡を専攻、卒業後は吉林省民族楽団に二胡奏者として入団、1992年の日本公演では首席奏者を務めたということじゃ。1993年に熊本大学教育学部音楽科に留学した後は日本に残り、九州を拠点に演奏活動を行ったり、九州各地に教室を開設するなど、二胡の指導にも励んでいるということじゃった。そんな劉氏が現在、演奏活動やレッスンで使用しておる楽器は数本あるということで、惜しむことなく紹介してくれたぞぉ?。では早速、本人のコメントを交えて一挙に紹介させてもらうことにしよう。
冀国華精製 北京式金属軸糸巻きインド小葉紫檀二胡全体 |
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劉:熊本大学教育学部音楽科に留学したのは93年9月からですが、その前に吉林省民族楽団の一員としてやって来た時に、日本の美しさに魅せられました。それ以上に聴衆が素晴らしく、お客さんの反応がビンビンと伝わって来る、こんな経験は中国でもありませんでした。2年の留学を終えた後も、熊本を足場にして二胡演奏家として世界を相手にやってみたい!との思いで、日本に残ることを決意しました。日本に来た時は2本の楽器しかなく、1本は楽団の時の楽器で、北京式の前方八角後方円形黒檀二胡、もう1本は紅木の高胡でした。その頃は楽器の音色の違いなどあまり意識したことがなかったのですが、楽器の違いがだんだん分かって来たのは、日本に来てからでした。例えば、南の曲である「江南春色」などを注意して聴くと、こんなにも甘くて綺麗な良い音色がしていたんだと思い、南方の楽器がそれらの楽曲に合っているということを改めて実感しました。それからは中国の友人に頼んだり、上海の第一民族楽器工場である上海民族楽器一廠から自身で仕入れるなどしました。その時に、二胡の他にも琵琶や月琴など様々な楽器を仕入れたのですが、「飛天楽坊」では、各種の楽器を展示してありますが、教室の生徒さんへの販売目的というより、中国の民族楽器を日本人に紹介するための、資料館のようなショールームを作りたかったからです。現在は主に、どれも来日後に入手した4本の楽器を演奏活動やレッスンで使用しており、
演奏する楽曲や、その日の気分に合わせて選んでいるんですよ。
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