記者は、この業界において長年多くの演奏家、教育家と交流をしてきました。国内外を問わず素敵な出会いは数多くありましたが、中でも劉鋒先生とのご縁はとても意義深く、記者の二胡に対する概念に大きな影響を与えて下さいました。この1年間の取材を通じて、その人柄もさることながら、しとやかさと気品に満ち溢れたその立ち居振る舞いに、一流の一流たる所以を教えていただいたような気がします。

 最終回の今回は、二胡演奏家・劉鋒をクローズアップし、その人となりを皆様にお伝えします。

 劉鋒先生の二胡は、ひとつひとつの音がその存在感をいかんなく主張し、洗練された珠玉の響きと言えるでしょう。記者の拙い文章では劉鋒先生の真髄をうまくお伝えできないのが悔やまれる限りですが、もし読者の皆様が愛好家として、そして演奏家として二胡を極めんと欲するのであれば、一度は劉鋒先生の演奏を聴かれては、と思います。きっと何らかの得る物があるでしょう。劉鋒先生との一年間は、清々しい一陣の春風のように颯爽と吹き去っていきましたが、記者の心の中には何時までも穏やかな春の香が留まっているかのような心境です。
 劉鋒先生、長い間ありがとうございました。高潔な二胡人・劉鋒に出逢えたことに心から感謝申し上げます。

【劉鋒さんプロフィール】
8歳より二胡をはじめ、 12歳で中国福建芸術学校に入学。その後、中央音楽学院民族器楽科二胡専攻に2年飛び級入学。4年後、優秀な成績により首席卒業。1992年来日。大阪シンフォニカ交響楽団、ル−マニアにて国立ブカレスト放送交響楽団、国立フィルハーモニカ・ゲオルギ・エネスク交響楽団、中国北京にて中国国家交響楽団と共演。1995年東京国立劇場にて、天皇陛下、皇后陛下のご来臨のもとで演奏するなど、日中を股にかけ幅広い活躍をしている。

≪劉鋒二胡研究会≫
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