第32回 武楽群先生の各種二胡(前編)

 皆は元気にしておったか? ご存知アルフー老師じゃよ。日本もようやく秋らしくなって来たが、今年は10月まで夏日が続いたのう〜。人が物事に集中するのに最適な気温は18度前後だそうで、“芸術の秋”と言うだけあって、秋は文化活動に取り組むのに気温も最適な季節じゃろうから、爺もますます二胡の練習に身が入り(?)、さらに音色が冴え渡ってしまう…といいのう(苦笑)。さて、前回は工業都市である三重県四日市市で柔らかくも優しい先生のもとを訪ねたが、今回は一転! なんと東京のど真ん中に、二胡博物館さながらの楽器コレクションを所蔵しておる人物がおるという最重要情報のタレコミがあったため、キン斗雲の舵を急いで東へ切り、秋晴れの空のもと、目的地へと爆走したぞ! 降り立った場所は、元々は亀の形に似た島であったことに由来しておるという、江東区は亀戸じゃ。この街で博物館のように数々の名器を所有しておったのは、二胡の指導者であり演奏家の、武楽群(ぶ らくぐん)さんということじゃった。武さんのお噂はかねてから聞いており、二胡界のフィクサー的人物と目しておったため、この爺、年上にもかかわらず緊張で震えておったが(苦笑)、「亀戸」駅からほど近くにあるビルへ到着して1階の扉をくぐると、そこはなんと二胡練習スペース兼「優文中国楽器店」の楽器展示室となっており、お会いしてみると、確かに圧倒的な存在感でラスボス的雰囲気こそ醸し出しておったが、爺の不躾な訪問を懐広く受け入れてくれ、何とも気さくに接してくれたぞぉ〜い!!
 武さんは、NPO法人日本二胡振興会会長・中国音楽学院国楽学部客員教授・中国民族管弦楽学会胡琴専業委員会理事・中国音楽家協会二胡学会理事を務めており、現在も日本の二胡教育活動および普及に力を注いでおられ、プロデューサーとしても、中国、日本等の国々の音楽を手掛けているそうじゃ。香港・韓国・中国・日本で行った多くの国際コンクールの審査委員でもあり、日本や中国で開催された国際文化交流コンサート「二胡縁」の総合プロデューサーでもあるぞ。日本でも自身の「来日20周年記念リサイタル」等数多くのコンサートに出演しており、東日本大震災チャリティーコンサートなどにも積極的に参加しておるということじゃった。そんな武さんに、「優文中国楽器店」の所蔵品でもあり、演奏活動でも使用しておる二胡を幾らか紹介してほしいとお願いしたところ、壁面のガラスケース棚に、博物館さながらに展示してある世にも貴重な楽器達を、次から次へと出していただけ、惜しみなく紹介してもらうことができたぞ!!(感涙)
 とてもじゃないが、1回では全て紹介しきれないため(苦笑)、武さんがこれまで愛用してきた楽器について、前編・後編に分けて紹介させてもらうことにしよう。
(詳細は本誌をご覧ください)

王瑞泉精製 蘇州式老紅木二胡全体