第20回 柳瀬寿子先生の紫檀二胡
中国では国慶節も過ぎ、日本も日増しに肌寒くなって来たのう〜、ご存知アルフー老師じゃ。今年は台風の当たり年で大変じゃったが、皆は変わりなく過ごしておるじゃろうか。さて、前回は千葉で意欲的に活動しておる魅力的な女性二胡奏者のもとを訪ねたが、今回は、久しぶりに中部地区に名器を所有した二胡奏者がおるとの噂を情報筋から聞きつけたため、キン斗雲の舵を西へ切り、目的地へと向かったぞ! 今回降り立った場所は、中部地方最大の都市である名古屋市の代表駅「名古屋」駅からほど近い、高層ビル「JRセントラルタワーズ」の眼下に広がる街の片隅じゃ。この街を拠点に演奏活動をしながら教室を開講し、名器を所有しておるのは、二胡演奏家で講師の柳瀬寿子さんということじゃった。お会いしてみると、とても親しみやすく気さくでキュートなこの先生、これからレッスンに出かけようという忙しい中じゃったにも関わらず、この爺の突然の訪問を温かく迎え入れてくれたぞぉ〜(泣)。
柳瀬さんは、留学した中国西安で二胡を始めたそうなんじゃが、初めは語学留学で行ったつもりが、当時の留学生仲間に誘われてやってみたところ、どんどんのめり込み、現地の西安音楽学院で金偉先生に二胡演奏を学ぶことになったということじゃった。現在では二胡講師を生業として100名以上の生徒さんを抱えるまでになっておるそうじゃよ! そんな柳瀬さんが演奏活動やレッスンにおいて使用しておる楽器は、「王乃正」氏製作の蘇州式紫檀二胡ということじゃった。それでは早速、本人のコメントを交えて紹介させてもらうことにしよう。
王乃正精製 蘇州式紫檀二胡全体 |
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柳瀬:初めは根性を鍛え直そうと、一年限定で語学留学するつもりだったのですが、中国語について行けなくなり(苦笑)、心が折れかけていた時に、留学生友達から「二胡をやってみないか?」と誘われて始めました。その後はどんどん二胡にのめり込み、西安音楽学院で金偉先生に師事、二胡演奏を学ぶようになりました。二胡を始めると、不思議なことに後から中国語がついて来て、普通に生活ができるほどのレベルになりました。二胡のおかげで現地の人と喧嘩もできるくらいになったんですよ(笑)。最初の楽器は、その時に金偉先生から購入した、呂建華精製 北京式紫檀二胡だったのですが、日本に帰って来て、続けて二胡を学ぶ傍ら二胡講師としても活動を始めた頃には、7〜8年も使用していたため、蛇皮の状態もやや緩み、張りのない音色になり始めていました。そんな頃、北陸にある二胡専門店の教室で講師として活動し始めたのですが、店長から「ここは二胡専門店だから、先生も当店の楽器を持ってください」と言われて購入したのが、現在も演奏活動やレッスンでメイン楽器の一つとして活躍している、この王乃正氏製作の蘇州式紫檀二胡だったんです。店長からお薦め楽器として2機種を紹介され、弾いてみて悪くなかった本機を購入したのですが、その時、一緒にいた生徒さんもこれを欲しがったため、公平を期するため、厳正なるジャンケン勝負の末に辛くも勝ち取りました(笑)。この二胡は、紫檀らしく明るくはっきりした音色で、購入後2年くらいは高音がキツかったのですが、時間が経って、随分と円やかになって来たんです。 |