第15回 こたにじゅん先生の黒檀二胡

 新年好!めでたく新しい年が明けたのう〜。皆にとって旧年はどんな年だったじゃろうか?アルフー老師は年頭にいつも「今年こそはもっと二胡を頑張って練習して上手くなるぞ」と目標を立てるのじゃが、いざその年が終わってみると、あまり進歩していない現実に、我ながら愕然とするもんじゃ(泣)。さて、前回は平和都市広島で精力的に活動しておる二胡奏者のもとを訪ねたが、今回は、風の便りで関東方面に名器を所有する二胡奏者がおるとの情報を聞きつけて、キン斗雲の舵を東に取り、目的地へと急いだぞ!今回降り立った場所は、意外にも弥生時代の遺跡などが発掘されたという歴史もある東京都豊島区駒込じゃ。この街を拠点に演奏活動をしながら教室を開講し、名器を所有しておるのは、二胡演奏家で講師のこたにじゅん氏ということじゃった。写真では見るからにアーティスティックな雰囲気を醸し出しているこの先生、お会いしてみるとなんとも優しいムードを纏っており、こんな爺にも親切丁寧に、とても誠実に対応してくれたぞぉ〜い(泣)
 こたに氏は、前職がなんとグラフィックデザイナー(!)という異色の経歴を持っているということじゃが、二胡に出会ってからわずか3年後には、演奏家としての活動を開始したということじゃった。驚くべきは、それまでに二胡以外の楽器経験がなかったということ。現在のこたに氏の演奏からは、とても二胡が初めての楽器だったと思わせないクオリティの高さが感じられるのう〜。そんなこたに氏が演奏活動やレッスンにおいて使用しておる楽器は、「宋廣寧」氏製作の北京式黒檀二胡ということじゃった。それでは早速、本人のコメントを交えて紹介させてもらうことにしよう。

宋廣寧精製
北京式黒檀二胡全体

こたに:グラフィックデザイナーを生業としていた2002年、偶然聴いた二胡の音色に感銘を受け、自己表現の新しい可能性を感じて二胡の世界に入りました。最初はレンタルの六角二胡で始めたのですが、性格的に何でも本物志向のところがあり(笑)、自身の二胡としては最初からある程度の楽器を使いたいということで、すぐに十数万円した上海式六角紫檀二胡を入手し、練習に励みました。その後、この紫檀二胡にも物足りなさを感じていた頃、同じ教室に通う他の生徒さんが使っている黒檀二胡の音色に惹かれるものがありました。それと同モデルの楽器が、現在、演奏活動においてメインで使用している、この宋廣寧氏製作の北京式黒檀二胡です。この楽器は高音までよく通り、音量も大きく鳴るという特長があり、この楽器と出会った頃には、二胡演奏家としての道を歩もうと決意していたため、演奏で使用するのを前提に購入を決めました。この黒檀二胡は、生音でもマイクを通した時でも、他の楽器と合わせる時などは特に高音の通りが良く、且つ十分な音量があるため、今では手放すことのできない、大切な楽器として演奏活動の場において大活躍してくれています!

老師:「宋廣寧」氏は、以前にも紹介したことがあるが、著名演奏家の名器も手掛ける専門職人で、この黒檀二胡は、昔ながらの前方八角、後方円形の北京式二胡特有の形状をしておるのう。こたに氏にその音色を聴かせてもらったが、確かに北京式らしい十分な音量で鳴り響き、なるほど高音部の抜けも良く、且つ黒檀二胡らしくまろやかで哀愁漂う音色は、この涙もろい爺には酷なくらい美しいものじゃったぞぉ〜(感涙)


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