第14回 竹内ふみの先生の黒檀二胡

  ?好!我らが味方アルフー老師じゃ。中国では建国記念日である国慶節も過ぎ、この号が出る頃には爺の嫌いな寒い季節が到来しておるのう〜(泣)。さて、前回は、伊勢神宮の裏手という神々しい場所で、ギタリスト兼二胡講師というムーディな先生にお宝二胡を紹介してもらったが、今度は西方より、名器を所有している女性二胡奏者がおるとの噂を聞きつけ、キン斗雲を駆り、瀬戸内海上空を西に向かって爆走させたぞ!降り立った場所は、中国・四国地方で最も人口が多く、国際平和文化都市としても名高い広島市中心部じゃ。この街で教室を開講し、名器を所有しているのは、二胡講師で演奏家の竹内ふみの(たけうち ふみの)さんということじゃった。お会いすると、キリッとした中にもコケティッシュな魅力のある、可愛らしい先生じゃったぞ〜!レッスンや演奏活動で超多忙な中、この爺の突然の訪問にも拘わらず、親切に楽器についてのエピソードを話してくれたぞぉ〜(泣)
 竹内さんは元々ヴァイオリンをされており、広島のエリザベト音楽大学器楽科ヴァイオリン専攻を卒業されておるそうじゃ。在学中にピアノとヴァイオリンによるアンサンブルを組み、演奏活動を開始した頃、二胡に出会ったそうな。今では、ジャンルを超えた演奏活動を行うとともに、ヴァイオリンと二胡の指導にも当たっているとのことじゃった。そんな竹内さんが演奏活動やレッスンにおいて使用しておる二胡は、ある先生から譲ってもらった鳳凰の彫刻が施された黒檀二胡1本ということじゃった。それでは早速、ご本人のコメントを交えて紹介させてもらうことにしよう。

陳宝田監修製作者不詳 
北京式黒檀二胡全体

竹内:元々ヴァイオリンをしていたのですが、二胡には、エリザベト音楽大学在学中に、何か別の楽器を習得したいと考えていたときに出会いました。十数年前になるのですが、上海から中国雑技団が来て広島で公演が行われ、その演目の中にあった二胡演奏を初めて生で聴いたのですが、一発でその音色に惚れ込みました。開演後はなかなか二胡の出番が来ず、雑技団の演技、馬頭琴演奏やホーミー歌唱などの合間に、くどいほどモンゴル相撲のパフォーマンスが挟まっていたので(苦)、あと少し、二胡演奏の出番が遅かったら帰ってしまい、もしかしたら出会っていなかったかも知れません(苦笑)。  その後はすぐに、当時から広島で二胡教室の展開をされていた中国人講師に縁があって習い始め、最初に手にした楽器も、この方から20〜30万円で購入した紫檀二胡でした。その後、2001年には中国へ渡り、北京の中国音楽学院にて二胡特別講座を受講したり、岡山在住の中国人二胡演奏家「田川(デンセン)」氏に師事したりして研鑽を積みました。 そんな折、東京でヴォーカルの人のバックとして二胡とヴァイオリンの演奏の仕事があったときに、楽屋で紫檀二胡を立てかけておいたところ、倒れて琴頭が折れてしまうというハプニングに見舞われ、買い替えざるを得なくなってしまいました。  田川先生が奏でる音色が素晴らしいため、先生に相談したところ、タイミング良く譲ってもらえることになったのが、この「陳宝田監修製作者不詳北京式黒檀二胡」なんです。元々は龍と鳳凰の対になっている楽器で2本あったため、片方の“鳳凰”を手放してもらえることになりました。私は楽器にそれほど執着がなく、鳴らすのは自分自身だと思っている方なのですが、今では蛇皮もよく馴染み、レッスンや演奏活動においてジャンルにとらわれない美しい音色を奏でてくれています。

老師:この鳳凰彫刻入り北京式黒檀二胡は、バランスの良い二胡弓で定評のある陳宝田氏が監修したということじゃが、製作者自体は不明だそうじゃ。それにしても、選定されたであろう良質な黒檀材の琴棹や琴軸、琴筒には何とも迫力のある鳳凰の彫刻が施されておるのう〜(感心)。竹内さんが演奏活動で弾き込んでいるため、十分な音量で黒檀材も良く鳴っており、ジャズ曲などを多く弾かれ、それほど中国曲は演奏されないそうなんじゃが、なるほど響きの豊かな無国籍で美しい音色だったよぉ〜!(感動)



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