第13回 村山正昭先生の黒檀二胡と紅木二胡

 ?好!アルフー老師じゃ。まだまだ暑い日が続いておるが、皆は夏バテなどしておらんじゃろうか。 さて、前回は何とも変わった経歴を持った福井の先生のところでお世話になったが、今回は名器を所有した二胡奏者が三重県伊勢市におられる、との噂が風に乗ってやって来たので、キン斗雲を南へ走らせたぞ! 降り立った場所は、なんと「お伊勢参り」で有名な伊勢神宮のすぐ裏手! 今年は20年に一度の「式年遷宮」の年だそうで、上空から見ても賑わいを見せておったのぅ〜。この街で教室を開講し、名器を所有しておられるのは、二胡演奏家の村山正昭(むらやま まさあき)氏。普通の二胡奏者とはちょっと違った、なんともムーディーな雰囲気を醸し出すこの先生、それもそのはずで、二胡の他にもギターを弾かれるのだそうじゃ。この爺の突然の厚かましい訪問にも係わらず、快く楽器コレクションのあるレッスン室に案内してくれたぞぉ〜! 部屋に入ると、まずはピアノや演奏活動で使用するであろうPA音響機器が目に入り、村山氏が普段ここでレッスンをされたり、音楽活動に取り組んでおられるであろう姿が浮かんで来たが、その横にはずらりと二胡や高胡といった民族楽器が……この愛器達についていろいろお聞きしたいと、はやる気持ちで一杯の爺に対して、村山氏はとても穏やかで紳士的に、一つ一つ説明してくれたぞぉ〜!!
 村山氏はもともと、ギタリストとして音楽活動をされていたそうじゃが、十数年前に二胡に出会い、その音色に惹かれて以来、二胡という楽器の魅力にどんどんはまって行ったそうな。そんな村山氏の現在のメイン楽器は、一番最初に手に入れた黒檀二胡ということじゃったよ。それでは早速、本人のコメントを交えて紹介させてもらうことにしよう。

北京楽海楽器黒檀二胡全体

村上:現在はここ伊勢市に住んでいますが、生まれは高知県なんです。両親が音楽好きで、クラシックを聴いて育ったのですが、幼少期からギターに興味を持ち、それからは練習に明け暮れる日々を過ごしました。高校を卒業後は、ギタリストを志して大阪で音楽活動を始めましたが、なんとプロデビューは吉本興業の漫才師のバックミュージシャンとしての仕事でした(笑)。その後、ライブハウスでの演奏やレコーディング、歌手のバックミュージシャンなど様々な仕事をこなして来たのですが、十数年前に二胡に出会い、独特な癒しの音色に魅せられてからは二胡に転向、二胡奏者の賈鵬芳氏に師事するなどして学んで来ました。最初の楽器は、伊勢市で初めて中国人講師に習い始めた頃に入手した、“北京楽海楽器”工房製の北京式黒檀二胡でした。実は、その二胡が、今でも演奏やレッスンで使用しているメイン楽器になっているんですよ! この二胡を弾き始めて早12年ほどになりますが、クリアーで音色に深みがあり、高音部もパキッと出てくれるため、他の二胡を弾いてもこれに勝るものがなく、今では手放すことのできない大切な相棒になっています!

老師:この楽器は、北京の「楽海楽器」という比較的大きい工場製の北京式黒檀二胡じゃ。木材は厳密に言うと“烏木”だそうで、歯切れの良さと明るさがあり、なお且つクリアーな音色が特長の材料ということじゃ。烏木二胡は表面を黒く塗って高級な黒檀二胡と見紛うばかりに仕上げてあるものが多いそうじゃが、決して“偽装”ではなく、音色も黒檀二胡に劣るという訳ではない。村山氏にその音色を聴かせてもらったところ、確かに柔らかさとキラキラ感を伴った明るさ、クリアー感がある素晴らしいものじゃったぞぉ〜い!(感動)



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